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正気の境界線

突然の自由にとまどっている、アラフォー女のブログです。

司馬さんのテレビ番組

自由な生活ができるようになってから、

それまで見れなかった反動か、TVをダラダラ見てしまう…

ので、ここ最近は決まった番組以外は見ないようにしていたのですが、

今日は午前中をTV視聴に費やしてしまいました。

だって、朝の9時代、どこの民放も高畑淳子の会見しかやってないんだもの!高畑淳子さんが気の毒で、見てらんなかった。

(もちろん、一番気の毒なのは被害者女性です。だけど、息子の犯罪に向き合おうと必死の母親の姿というのは…生中継するものかしら?)

NHKの有働さんの番組は、朝の連ドラ子役の女の子達が特集で、興味無かったし…

それで、なんとなくBSプレミアムつけたら、

司馬遼太郎 アメリカ素描を行く」が放送されてて、最後までみてしまい、午前中潰れましたw

でも後悔はしてないです。

見れて良かった。

 

アメリカ素描」はもう何年も前だけど読んだことがあったので、余計、おもしろかった。

初回は2003年の放送だというのに、最初は全然気が付きませんでした。アメリカ人の服装って10年くらいじゃあまり変わらないのねw

それはともかく、素晴らしい内容でした。

 

私はとても忘れっぽいので、何年も前に読んだ本は内容忘れちゃうんですが「アメリカ素描」には断片的に忘れてない内容がありました。

司馬さんの「文明と文化」の考え方です。

アメリカは久しぶりに人類史に登場した「アメリカ文明」を作ったということ。それから「アメリカ文明」と「文化」には合い入れない部分があるということ。

ここ数年のイスラム関連の報道を見るたびに司馬さんが著書で論じていたことを思い出してました。

実際、司馬さんは、文化に関してイスラム教の礼拝についても触れていましたし。

ここ2世紀ほどでアメリカが生み出した「文明」とトラディショナルな「文化(あるいは宗教)」には矛盾するかのような考え方の違いがあるもの。

一方は「自由」を至高のものと尊重し、もう一方は「規律(戒律)」を重んじる。

または、一方はたくさんの人間が作り上げた「法」に従い、もう一方は「神の教え」に従う。

ISなどの過激派組織のテロ活動はイ、スラムの名を騙る犯罪でしかないのだけれど、その矛盾の部分を自分たちの都合のいいように利用しているんだと思います。本当に悪い奴らだ。

 

あと、憶えていたのは「黒人こそ生粋のアメリカ人だ」という言葉。

番組でも大きく取り上げられていました。これを最初に読んだ時は「本当だ!」とすごい納得したというか衝撃的でした。アフリカから自分の意志ではなく、勝手に連れて来られて、故郷での過去はすべてリセットされ、ゼロから自分たち独自の文化を作り上げた。本当にすごいことだと思います。そして、これを発想し思索し美しい文章にした司馬さんは本当にすごい人だと思います。

また、番組内で言われていたことですが、司馬さんは、黒人のみならずマイノリティーを見つめる目がとても温かい。確かに、なんていうか、つまらん偏見が一切無い。

司馬さんは日本人の歴史や文化をとても大切に思っていて、どの作品でもそれを読者にいつも誠実に伝えていたように感じるのですが、それは日本だけに限らないと思います。

「街道を往く」のアイルランドや韓国の巻や「草原の記」でもそんな感じがしました。

そういうところが司馬さんの偉大なところだと、私は思うのです。

本当は、自国を愛しつつも、他の国のことも大事に思えるものなのです。

こっちは上げて、何かを下げるではダメだと思う。それは大人げないですよねー。

番組内で、司馬さんとのエピソードを語るとき、皆さんとても楽しそうな感じだったのが印象的で。司馬さんからはいつも、相手をリスペクトしている雰囲気が出ていたのではないでしょうか。

そうそう、この番組の一番良かったところは、アメリカ素描に登場した人物や街の今やアメリカの変化などを伝えてくれたところでした。

とくに良かったのはハーレムのシルビアさんのお店!

大繁盛じゃないですか!シルビアさん幸せそうでした。寉見教授の接客をしていた女の子も…なんか溌剌としたかわいらしさがあって「あぁ、いいお店なんだな~」と。

店員がいきいきと働いているお店は良いお店。外国でも同じだと思う。

ハーレム自体も目抜き通りがとてもきれいな街並になったそうで。今の世界情勢や日本の姿は、とても司馬さんには、お見せしたくないと思ってしまうのですが、このハーレムの変わりようは別ですね!私もなぜかウルっときちゃいました。良かったねぇって。

一人暮らし始めてから、どうも涙腺ゆるくなっちゃってw

なんか、頑張ってた人が報われた!とか、辛い思いしたけど今は幸せになりました!みたいな映像見ると、すぐ涙が。これDV被害の反動なのかも…前は他人事ではどんなことでも涙出なかったから。うれしい変化です。

 

さて番組の内容に戻りますが、

終盤、ジョン・ダワー氏が「日本がアメリカと同じことをするのは無理だ。合ってない。やめときなさい」というようなこと言ってました。それから「日本はヨーロッパ諸国の社会民主主義をお手本にした方がいいよ」と。2003年の時点で。

でも、いまだにアメリカ的な政策ばっかりやってるような気がします。ガッカリ。

そして、ダワー氏は、ナショナリスティックになり過ぎているアメリカを危惧していました。

しかし、10年以上が経ち、日本も欧州諸国でもどんどんナショナリスティックになる傾向にあります。この番組の制作はイラク戦争のころです。その時から情勢は悪化していると言えます。

まさかイギリスがEU離脱だなんて!ダワー氏の言っていた通り、一度まとまりかけた世界はまたバラバラになろうとしている感じです。でもそのきっかけも、同氏の言う通り9.11後のアメリカなんですよね~

わかっている人もいたのに、止められなかった。こわいですね。

司馬さんなら、なんて言うかな?でも、もうその賢人はいないんですよね。さびしい。

今、自由に色んなことを見たり言ったり考えたりできるようになったからこそ、司馬さんのような「偏見を持たず、常に相手をリスペクト」という姿勢を保てるように努力しなきゃいけないんじゃないかと思います。

本当にとても考えさせられた、良い番組でした。

 

 

ところで、英語でインタビューに答えていた人たちは司馬さんのことを「Shiba‐san」と言ってました。Mr.シバとかでなく。

何故かほっこりしましたので、この記事でも「先生」とか呼び捨てとかにしないで「司馬さん」で通してみました。